常に高品質な空間を
目指しながら、
「利用価値のある仕様は残す」
という選別に注力し、
サステナブルを意識した
プランニングをする。
住まいは人生の舞台であり、その空間が持つ力は私たちの暮らしに大きな影響を与えます。既存の住空間に、新たな命を吹き込むリノベーションは、単なる改装ではなく建物の歴史や個性を尊重しながら現代の暮らしに合わせて再構築する創造的なプロセス。
当社(野村不動産)の鷲谷と、設計デザインを担当する外部パートナーの松崎さんに、リノベーションにかける思いや哲学について話を伺いました。
Data:
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鷲谷 直人 Washitani Naoto
野村不動産株式会社
住宅事業本部 リノベーション事業部 推進課
一級建築士 -
松崎 雪姫 Matsuzaki Yuki
株式会社インフィル
空間デザイン営業部 空間デザイン營業課
デザイナー
−−−リノベーションにおいて意識していることは?
鷲谷:
私たち野村不動産のリノベーションでは、既存の建物や立地条件の良さを最大限に活かし、お客さまにご満足いただけるプランをご提案することを第一に考えています。
例えば、千代田区の物件であればその地域に合ったプランを、40代のご夫婦を想定した場合は、お客さまそれぞれの暮らしに合ったプランをご提案するように心がけています。
また、新築ブランドの『プラウド』で培った技術やそこで得たお客さまの声、物件を紹介してくれた仲介担当者の方たちから聞いた地域の情報を活かして計画を立案。それに加えて、弊社の物件の仕入れ担当者とも連携して、詳細な情報を基に、お客さまにとってベストなリノベーションを実現しています。

さらに野村不動産として、「残すべきところは残す」という思いを持ちながらプランを考えています。既存建物の良さを活かし、必要以上に壊さないことも大事にしているのです。既存のものを残すことで、経済的なストックを大切にし、産業廃棄物の削減につながったり、時代が求めるエコにもつながるような活動にもなっていくことが、弊社の考え方にも合致していると考えています。 私の個人的な体験ではあるのですが、ある既存物件でかなり特徴的なリビングの扉がありまして、状態も良く物もとても良いものでしたので、これを残すためのプランを考え尽くしました。実際にご購入された方も、「内装がとても気に入りました」と言っていただき、それはとても印象に残っています。
−−−デザインや仕様を決める際にこだわっているポイントは?
松崎:
新築で言いますと、やはり1回で何百もの住戸を販売することになるので、さまざまなお客さまに対応した心地よいデザインを目指しています。
一方でリノベーションでは、一住戸だけですので、広い範囲でと言うよりも、たった1人のお客さまにとても気に入っていただけるような、少し尖ったデザインもご提案できればと思っています。
また、私は海外のデザイン情報サイトなども常にチェックし、新しいデザインに挑戦しています。
そのアイデアなどを、メーカーの方に「こういうデザインは作れますか?」と問いかけたり、技術者の方と話し合って、新しいデザインを次々と取り入れていくよう心がけています。
弊社は建築事務所としての側面だけでなく、オーダーメイドキッチンブランドINTENZAを用意しており、キッチンが生活の中心となっている現代において、全体と調和した美しい水周り空間のご提案が可能です。

鷲谷: 新しいデザインの挑戦はよいですね。そして私たちは実際にデザインや仕様を決める際は、何よりも高品質な空間であることを意識しています。例えば、玄関や水回り、キッチンの位置まで大きく動かすこともあります。リノベーション対象物件は、20年前の建物が多く、キッチンがLDと分離されクローズタイプが主流でしたが、今の時代、開放感のあるオープンタイプのキッチンがトレンドになっていますので、高品位な空間づくりとしての大胆な設計変更も積極的に検討・計画しているのです。
松崎: 設計デザインを担当するチームとしての私個人の話にはなってしまいますが、やはり家というものは人生の中で一番大きな買い物だと思っています。人々の生き方や暮らし方に深く関わってくるものですので、私は一過性のトレンドをというよりも、お客さまの人生というステージを彩るデザインをご提案することを、常に心がけております。ライフスタイルの変化に柔軟に対応できるというのもあるのですが、オーナーさまがお客さまをお招きして少し外交的に生活されたり、子育てに向いた住まいであったり、生き方とか暮らし方、人生に関わるような住まいを、今後もリノベーションでご提案していきたいと考えております。

−−−住宅のトレンドをどう取り入れいるか、リノベーション事業の強みについて
鷲谷:
新築の場合、計画し始めてから工事が終わるまでに3年ほどかかります。仕様を最終決定するのも計画時より数年先です。
リノベーションでは、2〜3ヶ月周期で工事が進みますので、最新のトレンドを、新築よりも取り入れやすいことが強みだと思っています。
デザイン的な挑戦もしやすいですね。新築では数百戸単位で検討しますが、リノベーションは一住戸です。
たとえば、扉の枠をなくすような設計の採用や、新しい設備などを積極的に取り入れています。こうした柔軟さを活かして、今後の新築分譲マンションにも応用できるような革新的なアイデアを生み出したいと考えています。
松崎: 変化するニーズやトレンドに対して、一邸一邸ごとに、オーダーメイド物件のように、設計デザインや仕様で、スピーディに応えられるのもリノベーションの良いところですね。

鷲谷:
そうですね。ニーズやトレンドに応えるという意味では、私たち野村不動産の強みは、まだあります。新築分譲マンション工事のメーカーさんとのつながりがとても強いものがあるということです。
例えば、リノベーション工事の場合、一住戸が多く、発注単位が少ないのです。一住戸のみの対応はできないというメーカーさんも少なくありません。ですが、私たちがメーカーさんと培った強いつながりのおかげもあり、リノベーションの小数単位でもご対応いただけるというのは、弊社ならではの強みかなと思っています。
お客さま、仲介担当の方、物件の仕入れ担当者、設計デザインの皆さま、メーカーの皆さま、ほんとうに多くの関係者のご協力や挑戦があって実現する私たち野村不動産のリノベーション。
これからも、一人一人のお客さまに心よりご満足いただける、唯一無二のリノベーション空間を創造していきたいと思います、今後もどうぞご期待くださいませ。
